土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 村田沙耶香 12篇の危険な自選短篇小説集「生命式」感想

life ceremony

こんにちは。

今週は村田沙耶香さんの自選短篇小説集「生命式」を読みました。

予備知識のないまま読みはじめたので、

「生命式」のことを

「機械式」とか「タッチ式」とかの方式・形式の「式」だと思っていました。

実際は、「結婚式」「お葬式」など、「セレモニー」の意味の「式」

人が亡くなったあと、故人を偲んで、故人の生命として

その肉体をみんなで食べるという新しい葬式「生命式」

=Life ceremony=

さすが、村田沙耶香さん、設定がえぐいです。

そして、いつものように、「受精」だの「交尾」だのの

オンパレード。

正常って何?まともって何?

とぐんぐん問うてくるような物語。

 

そして、どんどんどんどん、異常さが加速していく。

まともなふりをしながら、親切なふりをしながら、

異常な世界に引きずり込むような物語がたくさん。

 

ちょっと、薄気味の悪い、嫌悪感をもよおすような話もあるけれど、

それが、「村田沙耶香式」

人肉の調理法について、そんなに嬉々として綴られても・・・・。

でも可笑しさもある。

そう言えば、これも読んだことがないのだが

つげ義春さんの「ねじ式」という作品もある。

こちらも「ねじ」の「方式」だと思っていたのだが、

「ねじ」の「セレモニー」のことだったりするのだろうか?

 

自分的には、「街を食べる」という短篇が気に入りました。

食べるための野草を街の中で探し求める

野生動物としての自分に夢中になっていく主人公が

とても気持ち悪い。

そして、他人をも、自分の「自然」に引きずり込もうとする。

最後、ひらがなだけで書かれた主人公のセリフが、

呪文のようでたまらん気色悪い。

でかい文字サイズで印字して部屋に貼り出している

村田さんがいそうでコワイです。

気色悪いだの、気持ち悪いだの言ってますが、

なんかその、こちらの気持ちを揺さぶってくる感が面白くて

読んでしまうのですねぇ。

 

村田沙耶香さん、危険人物。

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

 

子供ちゃん
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