こんにちは。
今週は村田沙耶香さんの自選短篇小説集「生命式」を読みました。
予備知識のないまま読みはじめたので、
「生命式」のことを
「機械式」とか「タッチ式」とかの方式・形式の「式」だと思っていました。
実際は、「結婚式」「お葬式」など、「セレモニー」の意味の「式」。
人が亡くなったあと、故人を偲んで、故人の生命として
その肉体をみんなで食べるという新しい葬式「生命式」
=Life ceremony=
さすが、村田沙耶香さん、設定がえぐいです。
そして、いつものように、「受精」だの「交尾」だのの
オンパレード。
とぐんぐん問うてくるような物語。
そして、どんどんどんどん、異常さが加速していく。
まともなふりをしながら、親切なふりをしながら、
異常な世界に引きずり込むような物語がたくさん。
ちょっと、薄気味の悪い、嫌悪感をもよおすような話もあるけれど、
それが、「村田沙耶香式」。
人肉の調理法について、そんなに嬉々として綴られても・・・・。
でも可笑しさもある。
そう言えば、これも読んだことがないのだが
つげ義春さんの「ねじ式」という作品もある。
こちらも「ねじ」の「方式」だと思っていたのだが、
「ねじ」の「セレモニー」のことだったりするのだろうか?
自分的には、「街を食べる」という短篇が気に入りました。
食べるための野草を街の中で探し求める
野生動物としての自分に夢中になっていく主人公が
とても気持ち悪い。
そして、他人をも、自分の「自然」に引きずり込もうとする。
最後、ひらがなだけで書かれた主人公のセリフが、
呪文のようでたまらん気色悪い。
でかい文字サイズで印字して部屋に貼り出している
村田さんがいそうでコワイです。
気色悪いだの、気持ち悪いだの言ってますが、
なんかその、こちらの気持ちを揺さぶってくる感が面白くて
読んでしまうのですねぇ。
村田沙耶香さん、危険人物。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。