土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 原田ひ香 不思議な人間関係小説「ギリギリ」感想

mojito

こんにちは。

今週は原田ひ香さんの小説「ギリギリ」を読みました。

原田ひ香さんは、お金に関する小説が多い印象ですが、

こちらの小説「ギリギリ」は奇妙な人間関係が描かれた小説。

  1. 夫を過労死で亡くし、再婚した妻
  2. 今の夫
  3. 前夫の母親

の3人が主な登場人物。

妻は、亡き夫の母親にわだかまりがあるのだが、

なぜか、何の関係もないはずの今の夫は、前夫の母親と

仲良くしている。

そのことにモヤモヤする妻の視点、

なぜだか妻の前夫の母親の世話を焼いてしまう夫の視点、

そして、夫も息子を亡くし、ひとりで暮らす(元)義母の視点。

章ごとに、その3者の視点から、交互に語られる物語です。

 

なかなか面白かったです。

 

個人的には

夫を過労死(突然死)で亡くした妻の一人称が

「あたし」なのがイヤでした。

一人称が「あたし」の女がキライだ。

そんな風に思うのは自分だけなのだろうか、

一人称が「あたし」の女にロクなもんがいないことが多い気がする。

小説を読んでいると、一人称が「あたし」なだけで、

その登場人物に対して、イヤな先入観が生まれてしまう。

作者はそういう意図をもって、「あたし」という一人称を

選ばれているのかどうなのかを知りたいところである。

 

実際、この本に出てくる一人称あたしの女「瞳」のことを

なんだか好きになれませんでした。

 

亡き夫の母親は、ぼんやりと人(元嫁が再婚した夫)に頼りながらも

英会話を勉強したり、ボランティア活動をしてみたり、

デッサン教室に通っていたりする。(一人称は「私」

無神経なところもある人ではあるが、いろいろ

自分の発言や行動について気付いたり、

反省したりするところに好感を持ちました。

 

シナリオライターの卵である今の夫は

とてもやさしくていい人だ。

 

読み進むうちに、人々の関係性が少しづつ変わっていき、

ズレが生じていくのだが、それぞれの視点で

それぞれの考えを味わえるのが

小説を読む楽しさだと思う。

おすすめ。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

 

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