こんにちは。
今週は木皿泉さんの「カゲロボ」を読みました。
木皿泉さんの小説にハズレなし。
「カゲロボ」は、それぞれ、なにかしらゆるく繋がった
短編小説集。
イジメであるとか、ネグレクトであるとか、
ちょっと辛い設定もあるけど、
最後には、胸をぎゅうっと締め付けられるような
切ない感動があります。
いちばん気に入ったのは、「こえ」という作品。
訳あってなぐってしまい、それから不登校になった同級生の中島が
「箱」となって登校することになるのだが、
その箱の面倒をみることになった少年の話。
「ハコジマ」の面倒をみるツチヤの心の動きというか
成長や優しさに胸が締め付けられる。
設定は突飛なのだが、おかしみがあり、
切なさもある。
気に入ったところはこちら。
伝わらないことを恐れるのは、もうやめたいと思った。
伝わったかどうかわからなかった。
誤解されたかもしれなかった。
でも、伝えないよりそっちの方が何倍もいいと思った。
伝わらないし、分かり合えないと思っていた。
実際、卒業するまで、話すこともなかった。
けれど、ちゃんと伝わっていたということが、何年も経ってから分かる。
木皿泉さんは、そういうの、本当に上手い。
人が惨めなやつだと思っても、私がそう思わないかぎり傷つかない。
傷つくのは、自分自身が惨めだと思ったときだけ。
自分を傷つけられるのは、自分だけよ。
こちらは、「きず」という短編の中の一節。
少し前に、占い師のゲッターズ飯田氏のYouTubeを聞いていたのだが、
そのなかで、
「ひとの心は傷ついたりしないんです。
傷つくのはそのひとのプライドだけです。
心は傷つかない」
といったことを仰っていて、
と思ったことを思い出しました。
ほんとうに、木皿泉さんの小説は素敵だ。
もっと読みたい。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。