土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 穂村弘 エッセイ「野良猫を尊敬した日」 感想

鼠の顔

こんにちは。

今週は 穂村弘さんの「野良猫を尊敬した日」を読みました。

穂村氏は短歌を詠む歌人でいらっしゃいますが、

エッセイも書かれていて、非常に好きな作家さんです。

歌人だからか、言葉の使い方、選び方がずごくいいと思う。

はじめて、穂村氏を知ったのは「世界音痴」という本でした。

 

めちゃくちゃ面白くて、それ以来、作品が文庫化されたら

必ず買って読んでいます。

最初、「たねむら」さんだと思ってて、本屋で「た」行の

コーナーで探しまくったのもいい思い出です。

穂村氏は「ほむら」さんです。念のため。

ゆるよしは、新幹線に乗って出張するときは

自腹でグリーン車を利用していたのですが、(過去形)

グリーン車でもらえる「Wedge」という雑誌にも

「各駅短歌」という連載を持たれていて、

毎回楽しみにしていたものです。(過去形)涙。

経費節減および新型コロナによる移動制限で、出張もなくなりました。

穂村さんは、世界との対峙のしかたがずれていて非常に面白い。

17年も会社員をされていたようですが、

社会人としての能力が圧倒的に不足している。

というか、困難(?)に向き合わない。

 

自宅のインターネット環境を作るのがおっくうで

何年も何年も、駅前の漫画喫茶のネットを使いに通ったりする。

自宅のインターネットを接続するのに10年もかける人だ。

スマホにアプリをインストールしたこともない。

(じゃぁ何のためにスマホを持っているのか?電話か?)

目先のちょっとしためんどくささを超えることが出来ない。

でも、めんどくさいという気持ちに、どうしても負けてしまうのだ。

これはもう一種の犯罪なんじゃないか。

他人ではなく自分自身に対する犯罪だ。

めんどくさいというお化けのせいで、

下手したら一生を棒に振ってしまいそうだ。

穂村氏は会社員としての仕事にほとんど関心がない。

やりたい仕事もないし、どんな業種にも興味を持てない。

 

穂村氏とは絶対に同じ部署で働きたくない。

ゆるよしは、それなりに仕事にきちんと向き合う方なので、

穂村氏が同じ部署にいたら、

ゆるよし
ゆるよし
給料泥棒!

とか

ゆるよし
ゆるよし
なにやってんだ、このうすのろ!!

とか思ってしまいそう。

(言わないけど。)

 

でも、自分とは離れた場所で、こんな人がいる分には、本当に面白い。

生きる勇気が湧いてくる。

たぶん、私は心の深いところで自分に自信が持てていないのだろう。

こうありたいと願う自分と、現実の自分とのズレがあまりにも大きく、

しかも、折り合いをつけるスキルが低い。

みんなちがってみんないい

 

自分かわいさのあまり、楽な方へ楽な方へと流れ、

何も乗り越えようとしない穂村氏が

就職して3年間で貯めた貯金を全部使って短歌の本を自費出版する。

穂村氏は本当は会社員ではなく物書きになりたかったのだ。

見ている人はいた。

でも、神様のように見てるわけじゃなかった。

見てる人の視界の中まで、こちらから、

よろよろとよろめきながらでも出ていかないと駄目なのだ。

しかも、それを何度も何度も、生きている限り

繰り返すしかない。

好きなことがあるけれど、誰にも認められなくて

絶望して無感覚になってしまってる人に届け!って思う。

自分の弱さについてあれこれ考えて、一つずつ文字を並べて

それでご飯が食べられる日が、一日でも長く続きますように。

はい。

自分も穂村氏の作品を読んで笑っていられる平和な世の中が

一日でも長く続いて欲しいです。

 

とてもおススメです。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。