こんにちは。
今週は、木皿泉さんの小説「さざなみのよる」を読みました。
木皿泉さんは、夫婦脚本家。
自分は、亀梨和也さんと堀北真希さんが出ていた「野ブタ。をプロデュース」
というドラマの脚本家として木皿泉さんをはじめて知ったのですが、
それ以来、木皿さん脚本の作品は注目していて、著作も数冊読んでいます。
こちらの「さざなみのよる」は、「富士ファミリー」というドラマの
前日潭のようです。
「富士ファミリー」は小泉今日子さん主演で、薬師丸ひろ子さんや
片桐はいりさんが出演されていたそう。
残念ながら、自分は見ていませんでした。
木皿さんの著作は、脚本家だけあって、シナリオの場合が
よくあるのですが、自分は、シナリオより、小説派。
「さざなみのよる」は小説だったので、とても読みやすかったです。
がんで亡くなってしまう主人公をとりまく人々のお話。
読んでいくにしたがって、主人公のひととなりが浮かび上がってくる。
ひとつひとつのエピソードにグッと来ます。
本の帯によると、書店員が選ぶ、「泣ける本」第1位だそうですが、
そんなことを競ってどうする。
それは、人それぞれでは?
と思う。
帯に余計なことを書いてくれるな。
と思う。
こちらの本で、とてもいいなと思ったところはこちら。
毎日の同じしぐさにこれほど心が慰められるとは、
思いもしなかった。
日出男が弁当箱をたたむ。
それだけのことに、ありがとうと思う。
あのとき、自分は何に腹を立てていたのだろう。
自分の思い通りにならなかった、ということに荒れ狂った。
もともと人間なんて、思い通りになんてならないのに。
それがわかったのは病気になってからだ。
あの頃の自分に教えてやりたい。
あんたは、自分で考えていたのより百倍幸せだったんだよって。
「よいことも悪いことも受け止めて、最善をつくすッ!」
「もどりたいと思った瞬間、人はもどれるんだよ」
「最初はね、物真似でも何でもいいんだよ。
最終的に自分がなりたいものになれれば、それでいいんだよ」
などなど。
こんな言葉が、いたるところにちりばめられています。
人の記憶に残る限り、会えないだけで、人は生き続けているのと変わりない、
死なないって思える。
人間としてどうあるべきか、あんたは、どうありたいんだ?
と問うてくる小説です。
自分は泣きませんでした。
でもとてもおススメです。
寒くなってくると、こたつで読書というゼイタクがたまりませんね。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。