土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 生きるために書いた小説 又吉直樹 「人間」感想

elephant

こんにちは。

今週は又吉直樹さんの小説「人間」を読みました。

とにかく読み応えがあるというか、とても

考えさせられる作品でした。

 

漫画でも、絵でも、文章でも、

「表現」というものをすることについて

ゆるよし
ゆるよし
どんだけ考えてやらなあかんねんっ

と。

 

主人公の「永山」は、美術の専門学校を出ていて、

作品を出版したこともあるが、

(その作品誕生にまつわる苦い思い出が第1章)

現在は、文章やイラストを描くことで生活している。

「永山」は大阪弁で、なんとなく、又吉直樹氏自身を思わせるようなところもあるのだが、

さらに、芥川賞を受賞した芸人「影島道生」が登場する。

又吉直樹氏そのもののような経歴の登場人物。

 

「影島道生」は、イラストレーターでありコラムニストの

「ナカノタイチ」のコラムで批評されたことに反応して

長いメールやブログで「ナカノタイチ」を徹底的に執拗に批判する。

その文章の長いこと!

本当に怖くなるくらいでした。

生半可な気持ちで「表現らしきもの」をしているものにとって

非常に耳の痛い言葉ばかり。

逃げたり、かわしたりすることも出来ないほど、

「お前はこう言い逃れるかもしれない。

でもそれも既に俺は分かっている」

と断罪し続ける。

「ナカノタイチ」はしょうもない奴なのだが、

誰でも「ナカノタイチ」的な部分を持っているとも思う。

普通であることに逃げるようなところ。

表現する人が、すべて特別な人である必要はないけれど、

それを職業としてするときに、そこに逃げるのはないやろ

ということが書かれている。

 

生半可な気持ちで表現者を名乗ってそこに羞恥心も持たない

「ナカノタイチ」へのメールが第2章。

 

第3章では、もともと知り合いだった「永山」「影島道生」

表現することについてバーで語り合う。

スキャンダルに巻き込まれた「影島道生」の記者会見でも

その考え方について語られる。

 

そして、第4章は「永山」が作品出版記念の宴会に出るために

父親の実家がある「沖縄」に行く。

そこで、「永山」は家族に「ミチ」と呼ばれている。

ゆるよし
ゆるよし
ん?「永山」の下の名前ってなんだっけ?

「永山」「影島道生」がいつの間にか同化しているような

変な感覚。

確か、又吉直樹氏のルーツも「沖縄」にあるのではなかったか?

NHKの「ファミリーヒストリー」で観た気がする。

「永山」の話なのか、「影島道生」の話なのか、「又吉直樹」の話なのか

だんだん、わからなくなってくる。

ひとつひとつのエピソードに、又吉直樹氏の歩んできた人生が

垣間見える気がする。

 

 

なんかとにかく大変だ。

芸術とか、表現とかする人たちは皆こんなややこしいこと考えながら

創作活動をしているのだろうか?

大変すぎる。こわい。

 

 

とても印象に残った文章は以下の部分。

神様はなんで才能に見合った夢しか持てへんように

設定してくれんかったんやろ。

それかごみみたいな扱い受けても傷つかん精神力を

くれたらよかったのに。

そうおもわん?

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

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