こんにちは。
今週は村田沙耶香さんの「地球星人」を読みました。
村田沙耶香さんの小説を読むのは2冊目。
前回は芥川賞を受賞された「コンビニ人間」を読みました。
コンビニをこよなく愛し、コンビニで働く女性を主人公とした
お仕事小説
と思いきや、ただのお仕事小説ではなく、コンビニを生きるよすがとし、
コンビニなしでは生きられない、懸命に生きている女性の話でした。
お仕事小説としても優れていつつ、ビックリするほど面白くて
と思っていた作家さん。
今回読んだ「地球星人」の主人公は、
自らを「魔法少女」だと信じている小学生の女の子。
家族や、学校の友達となじめない疎外感から自分を守るための方便である。
「普通」とは何か? というより、「まとも」とは何か?
と問いかけられている感じを持ちました。
少女の周りの、通常「まとも」にカテゴライズされる側の人間が
とんでもない「腐れ外道」であったりする。
「腐れ外道」は、「魔法少女」によって鉄槌を下される。
「魔法少女」という、メルヘンチックなことばとは裏腹な
エグイことが、キラキラした表現によって描かれています。
「魔法少女」は成長し、結婚もするのだが、その夫も
世間でいう「まとも」とは外れた人間。
ほとんど、常軌を逸しているのだが、
そちらにはそちらの論理があり、
なにが「まとも」なのか、わからなくなってくる。
小説の後半どんどん、「まとも」とは言えないことが加速していきます。
でも、その中で、「まとも」側にいたはずの人が、
まったく「まとも」ではなかったことが判明したり、
もう、 えらいこと になっていきます。
とにかく、すごい問題作。
社会の「道具」として利用されていると感じる人には
すごく響く小説。
「まとも」側にいる人にとっては
理解不能な気持ちの悪い小説だと思います。
自分的にはおすすめです。
村田沙耶香さんの他の作品も読んでいこうと思っています。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。