こんにちは。
今週は万城目学さんが小説家デビューするまでの自伝エッセイ
「べらぼうくん」を読みました。
万城目学さんの著作を読むのは2回目。
前に読んだのは、エッセイの「ザ・万歩計」です。
とても力の抜けたエッセイで、とても面白く、
また読みたいなぁと思っていたところ、本屋でこの
「べらぼうくん」を見つけました。
表紙の絵もとてもかわいい。
「べらぼうくん」は万城目青年が
浪人し、京大生となり、就職し、退職し、
小説家を目指し、
小説家デビューするまでの12年間のべらぼうな軌跡。
はじめての一人暮らし、はじめての海外旅行、
はじめての就職活動、はじめての就職、
はじめての退職・・・・。
それぞれに、その時々の事件や出来事、
そして、万城目氏自身に降りかかる災難、
出会う人々への感想が織り込まれていて
とても興味深い。
小説家になりたいのに、そこまで自分自身を信じることも出来ず、
簿記の学校に通ったりしている万城目氏。
それでも、奇跡的な運の良さに助けられるように
小説家としてデビューする。
「MS-DOS」の仕組みがなければ、小説家万城目学は
誕生していなかったかも知れない。
何もかもが曖昧な偶然に先導され、それがよい結果につながったわけで、
うまくいくときとは得てしてこういうものなのかもしれない。
と万城目氏はあとがきで書いているが、それまでの行動がないと
どんな偶然や運があろうと、結果にはつながらないだろう。
全体にとても楽しく、面白かったのだが、いちばんいいなと思ったのは
次の文章。
若い頃の読書が素晴らしいのは、たった一冊の本を読むだけで、
自分の頭のなかに、巨大な部屋がいきなり登場してしまうことだ。
それまで壁だと思っていたところに突如、新たな扉が現れ、
その先にグンと自分の領域を広げる部屋が接続される。
それは新たな知識であり、新たな経験であり、新たな視野である。
若い人にも読んで欲しいし、万城目氏と同じ時代を過ごしてきた
中高年の人にもおススメの本です。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。