こんにちは。
今週は藤野恵美さんの小説「淀川八景」を読みました。
藤野恵美さんの作品を読むのははじめてでした。
(どうやら藤野千夜さんとごっちゃにしていたようです。)
「淀川八景」は大阪市の中心を流れる淀川の周辺で暮らす人々の
何気ない日常の中の、どうしようもなさや
新しい気づきなどを描いた8つの短編小説集。
主人公は、働く女性、女子中学生、婚活中の女性、
サラリーマン、男子高校生、離婚してしまった女性、
早期リタイアした中年男性、男子小学生。
琵琶湖を源流とする淀川は、大都市である大阪に流れる川ではあるけれど、
広々としていて、昔からの住宅地も側にあり、
鉄道の鉄橋はあるけれど、人が気軽に渡れる橋は意外と少ない。
一種独特の寂しさ、寄る辺なさを感じさせる場所である。
野球のグラウンドなどもあり、空も広いのに、
個人の感想だが、底抜けの明るさを感じることができない
不思議な場所だ。
現代が舞台の小説ではあるが、どこか懐かしいような
少し昔の物語のような印象を持ちました。
淀川の周辺が、あまり開発されておらず、昔ながらの
雰囲気があるからかも知れません。
藤野恵美さんの小説をはじめて読みましたが、
また読んでみようかなと思います。
解説は北上次郎氏。
解説によると、藤野恵美さんは、なにやら複雑な家庭環境で
育ったそうだ。
なんとなくだが、そういう事情は、作品を読んでいくうちに
本人の言葉から自然に知りたい情報であるなぁと思いました。
解説されても。。。。
早期リタイアして節約生活を送る中年男性の話のラストで
大阪のおばちゃんが「飴ちゃん」をくれるシーンが
印象に残りました。
大阪のおばちゃんが「飴ちゃん」を持ち歩いているのは
「元気出しや!」
というメッセージを贈るためなのですね。
「飴ちゃん」を実際になめてるおばちゃんを見たことないし。
いじめに加担したくないのに加担してしまった男子小学生の話も
よかったです。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。