土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 今村夏子 芥川賞受賞作「むらさきのスカートの女」感想

補色の関係

こんにちは。

今週は今村夏子さんの「むらさきのスカートの女」を読みました。

「むらさきのスカートの女」は芥川賞受賞作。

文庫化されるのを待っていました。

 

「むらさきのスカートの女」とどうしても友達になりたい

「黄色いカーディガンの女」のお話。

 

むらさきと黄色は補色の関係である。

隣り合った時に、お互いを引き立てあう色。

 

「黄色いカーディガンの女」は、

「むらさきのスカートの女」と友だちになりたくて仕方がない。

そのためなら、なんだってやる。

ほとんどというか、まぎれもなくストーカーである。

 

「黄色いカーディガンの女」「むらさきのスカートの女」

夢中である。

おそらく、自分と同じように、社会に適合していないところに

惹かれたのだが、実際に近づいてみると、

「むらさきのスカートの女」は、「黄色いカーディガンの女」より

ずっと自由で強いのである。

痴漢を交番に突き出すは、社内不倫をするは、

仕事を適当にサボるは、次々と思いもかけない姿に出会う。

 

仕事もせず、パサパサの髪で、言葉も発さず、

公園のベンチでクリームパンをかじっていた

「むらさきのスカートの女」はどこにもいなくなる。

 

そして、「黄色いカーディガンの女」

「むらさきのスカートの女」と友だちにもなれない。

 

人知れず、すべてを投げうってまで尽くしたのに、

「むらさきのスカートの女」「黄色いカーディガンの女」

気付かない。

 

そして、「黄色いカーディガンの女」

「むらさきのスカートの女」がいなくなってしまった

公園のベンチへ・・・・・。

 

誰にもその存在を気付いてもらえない

「黄色いカーディガンの女」が切ない。

 

でも、とても面白い。

字も大きいので、すぐに読めます。

おすすめ。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

コッペパン
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