土曜コラム今週の読書西加奈子いのちのことを書いた小説「ふる」感想

こんにちは。

今週は西加奈子さんの小説「ふる」を読みました。

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まず、タイトルの「ふる」。

一体何のことだか分からぬまま読む。

裏表紙のあらすじには、主人公の女性の職業は

「アダルトビデオへのモザイクがけ」となっている。

なんだかなぁと思いながら読む。

主人公の周辺に度々現れる「新田人生」という名の男。

タクシーの運転手として、公園で出会う男子児童として、

合コンのメンバーとして、コピー機の修理担当として、

婦人科の医師として、職場の同僚として。

全く別の人格として、同じ名前で現れる「新田人生」。

そして、主人公にしか見えない、人の肩に乗っている

ふわふわとした「白いもの」。

そして、飴の包み紙や、居酒屋のポスターや、

チラシの中に配置されている

空からふってくるように書かれた文字たち。

主人公は普通に生活し、いろいろなことを考えながら生きている。

目立たぬよう、誰の感情も害さぬよう、ひっそりと生きることに

全力を傾けている。

その描写の中に、「新田人生」、「白いもの」、「ふる文字」が

唐突に何度も現れる。

忘れたころに現れる。

とても不思議な感じのする小説だ。

この小説、一体どうなっていくのだろうと、思っていたら、

最後、怒涛のように収束していって、圧倒されました。

私たちは、祝福されている。

生きている。それだけで、祝福されている。

西加奈子さんはすごいなぁ～。

謎のタイトルと主人公の職業でなんとなく敬遠していたけど、

とても面白かったです。読んでよかった。

おススメです。

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それではみなさま、よい週末をお過ごしください。

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