土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 畑野智美 お仕事小説@カフェ「大人になったら、」感想

kiitos

こんにちは。

今週は畑野智美さんの小説「大人になったら、」を読みました。

畑野智美さんの作品を読むのは2冊目。

前回は貧困女子を描いた小説「神様を待っている」を読みました。

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土曜コラム 今週の読書 畑野智美 貧困女子のリアルを描いた小説「神さまを待っている」感想こんにちは。 今週は 畑野智美さんの「神さまを待っている」を読みました。 (function(b,c,f,g,a,d,e){...

 

今回読んだ「大人になったら、」は、うっすらとした恋愛小説でもあるけれど、

働く女性のお仕事小説として読みました。

 

主人公は35歳の8年間恋人のいない未婚の女性。

食品企業の正社員で、系列カフェの副店長として働いています。

35歳という、これから相手を見つけて、結婚して子供を産むには

微妙なお年頃なのですが、「どうしても」とか「意地でも」という

気持ちにもなれずに、日々を過ごしています。

仕事をし、たまに会う女友達、男友達もいて

ひとりで飲みに行けるバーもあるので

「独り身」なんだけれども、「孤独」な感じはしない。

出しゃばったり、高圧的になったりすることを極力避けようとする

抑制のきいた女性です。

 

見てくれはいいのだが、仕事を覚えようとせず、口ばかり達者な

帰国子女の後輩男性社員にイラついたり、

かつての同級生で、今は子持ちの主婦連中にイラついたり、

カフェに毎日来る予備校講師の男性に少し心惹かれたり、

どうってことない日常が丁寧に描かれています。

 

「神様を待っている」を読んだ時にも思ったのですが、

とても読みやすいです。

普通の感覚というか、とても真面目で、極端なところのない主人公が

普通の目で、まわりを観察し、

ふわっとイラついたり、遠慮したりしている様が

ゆるよし
ゆるよし
あるある。こういう気持ち。

となります。

気づかぬうちに、主人公と同化してしまっている。

 

特に明確な目標も持たず、夢も持たない主人公が

店長昇格試験を受けようか迷っているときに

予備校講師の男性がかける言葉が気に入りました。

目標を達成できる可能性のある自分になれば、

新しい目標を持つことができます。

苦手とか、怖いとか感じることにチャレンジするのは、大変です。

だからこそ、その気持ちを乗り越えてチャレンジすれば、

必ず人生は拓けます。

もしも望んだ結果を得られなかったとしても、

チャレンジした後には、自分はどうしたいかという

新たな目標が生まれるはずです。

いい先生だなぁ。

 

「波乱万丈!」

「怒涛のストーリー展開!」

といった小説ではないけれど、

日常の中の些細なできごとの中にも

いろいろな気付きがあるということを

あらためて感じることのできる読書でした。

 

サクサクっと本を読みたい気分の時におすすめ。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。