こんにちは。
今週は山本文緒さんの「自転しながら公転する」を読みました。
山本文緒さんの小説はとても好きなのです。
日々、いろいろなことに悩んでしまう女性たちを書くのが
とても上手だと思っています。
今回読んだ「自転しながら公転する」も
女性の悩みがこれでもかと言うほどてんこ盛り。
更年期障害、介護、うつ、家族
両親の老い、転職、嫉妬
結婚、出産、学歴格差
仕事、昇進、セクハラ、パワハラ
体形、加齢、容姿、経済、婚活
望まない妊娠、彼氏の過去
地方都市に住むアウトレットモール内のアパレルで働く
30代の契約社員の女性が主人公なのだが、
めくるめくたくさんの悩みを抱えている。
とても普通でバランスの取れた女性で、
普通に働いて生きているだけなのに
様々な悩みが降ってくる。
その中でも、恋愛の悩みが大きいのだが、
(彼氏の最終学歴が中学卒業)
どうなっていくのかが、最後まで分からないようになっている。
恋愛小説であり、お仕事小説でもある。
印象に残ったのは、
「自分には価値がない」と思いがちな主人公の女性が
災害ボランティアに参加するところ。
自分自身で、身をもって体験しようと参加するのだが、
同じボランティアグループの女性に辛辣な陰口を言われショックを受ける。
しかし、その一方で、そういう陰口をたたかれても仕方がないとも
感じる主人公。
とても正直で、すごくリアルな感じがしました。
自転しながら公転する
自分自身でぐるぐるぐるぐる悩みながらも、
周りの人間関係も社会も環境もゆっくりまわっていくので
同じところで止まってまわっている訳ではなく、少しづつ
変化していく、進んでいくということなのかな。
山本文緒さん。2021年にすい臓がんで亡くなられたこと、とても残念です。
彼女の書く物語をもっともっと読みたかったです。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。