土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 小野寺史宜 「ライフ」感想 なんでもない生活の中にも幸せの輝きがある

peanuts

こんにちは。

今週は小野寺史宜さんの「ライフ」を読みました。

小野寺史宜さんの本を読むのは2冊目。

前回は「ひと」を読んだのですが、好きな感じだったので

また買ってみました。

おかずの田野倉
土曜コラム 今週の読書 2019年本屋大賞第2位 小野寺史宜 「ひと」 感想こんにちは。 今週は小野寺史宜さんの「ひと」を読みました。 (function(b,c,f,g,a,d,e){b.Moshi...

今回の主人公も、おとなしい感じの男性。

アパートの1階に住んでいるのだが、2階の住人の

生活騒音に悩みつつも、文句を言いに行けないタイプの人間。

ごく普通の感性を持った、悪く言えばことなかれ主義の人です。

ごく普通の人が、ごく普通の生活を営みながら

仕事場であったり、ご近所であったり、人と出会い、話すことで

ほんの少しづつ成長していくようなお話です。

前回読んだ「ひと」もそんなやさしい感じのお話でした。

平和なので読んでいてホッとします。

そんな物語の中ででも、人のについても描かれていて

印象に残る場面がありました。

 

主人公が、原因不明の体の痛みに苦しみ、

でもあっけなくその痛みの原因が取り除かれた後、

がんで亡くなった父のことを思う場面。

痛いのはいやだ。

でも死ぬこと自体をそんなに恐れてはいない。

自分ではそう思っていた。

でも床をのたうちまわっていたあのとき、

死にたくないとはっきり思った。

やはり思うのだな、と思った。

そして今はこう思う。

父も同じだったろう、と。

 

あと、「僕なんかは何者でもありません」という主人公に、

隣人の母親が

「生きてさえいれば、人は何者でもあります。」

という場面。

 

ゆるよし自身、若かりしころ、死ぬことを恐れていなかった。

バイクでスピード出すのも平気でしたし、

ひとりで世界をフラフラ旅行するのも全然平気でした。

でもある日、兄が鎌を持って襲ってくるという夢を見た。

殺るか殺られるか となったときに、

金属バットで応戦して、夢の中とはいえ、

兄の頭部に狙いを定めて、フルスイングをした。

目覚めたとき、ちょっとボーゼン。

兄を殺してでも自分が生きようとしたことに

本当にビックリしました。

普段、「別にいつ死んでもいい」って思っていたのに、

実際は、生きたくて仕方がないんだということに気づかされた夢でした。

 

27歳の主人公は、新卒で入った会社を辞めてしまって、

今はコンビニでアルバイトをしている。

市役所勤めの公務員だった父親の仕事について

生活のために仕方なく働いている

やりたいことがなかったから、公務員になったのだ

と考えているのだが、ラスト近く、母親から

意外なことを聞かされる。

 

これも印象に残ったことば。

人の役に立たない仕事なんてない。

 

おすすめです。

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。