土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 浅田次郎 地下鉄小説 「おもかげ」 感想

metro

こんにちは。

今週は 浅田次郎さんの「おもかげ」を読みました。

 

浅田次郎さんの小説は、あまり読んだことがありません。

「鉄道員」「蒼穹の昴」くらいです。

 

「鉄道員」 は、直木賞を受賞されたときに読みましたが、

それほどいいとは思いませんでした。

「蒼穹の昴」は、とても面白いと思って読んでいたのですが、

ゆるよし
ゆるよし
北京に旅行に行くまでに読もう

と思っていたところ、思いがけず長い小説で、

行くまでに読み終えることが出来ず、

旅行から帰ってからは、中国熱も下がってしまい、

積んどく本になってしまいました。(読了せず)

なので、読んだと言えるのは、「鉄道員」だけ。

 

「おもかげ」は、不幸な出自の主人公が、

定年退職の送別会の帰りに地下鉄の中で倒れ、そして・・・・。

といった物語。

浅田次郎さんは、「地下鉄に乗って」という小説も出されているので、

なにやら、鉄道や地下鉄に思い入れがある方なのかも知れません。

「おもかげ」の中でも、地下鉄の中での出会いや別れが

描かれています。

 

この本の中で印象的だったのは、

若かりし主人公が、理由なく恋人に別れを告げる場面での表現。

ドアを鎖す(とざす)とき、僕が去るのではなくて、

かけがえのないものを乗せた花籠が月明かりの小川を

流れてゆくように思えた。いずこへともなく。

なんか、極めて美しい表現だなぁ~ と感心していたところ、

後半でも、同様の表現が出てきて、

ゆるよし
ゆるよし
あぁ!そうか!

主人公が倒れたのが、なぜ送別会の帰りでなければならなかったのか

分かったような気持ちになりました。

ゆるよし
ゆるよし
ここにつながるのか!

上手いなぁ~と うなりました。

裏表紙には

「涙なくしては読めない至高の最終章」

とありましたが、ごめんなさい、ドライアイかも。

でも、とても良い読書体験でした。

おすすめ。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。