土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 小池真理子 長編小説「死の島」感想 今までとちょっと違う

死の島

こんにちは。

今週は小池真理子さんの長編小説「死の島」を読みました。

この不吉なタイトル「死の島」は、

スイス出身の画家アルノルト・ベックリンの代表作の絵画のタイトル。

がんで余命宣告されている主人公が、亡くなった昔の交際相手から

「あなたなら理解できるはず」

と託された画集の中の絵です。

 

小池真理子さんの小説は、わりとたくさん読んでいます。

避暑地の眠たいような午後の空気。

ミツバチの羽音。

はちみつを入れて飲む紅茶。

ミステリアスな男女の恋愛。

といったイメージなのですが、

この「死の島」

タイトルも不吉な感じですが、内容も割と不吉。

末期がんの老人が、孤独と向き合い、自決を考えるといった内容。

若い女性も登場しますが、いつものような美しい女性ではなく

野暮ったい、一見パッとしない女性として描かれています。

実際、その女性本人も、パッとしていない自覚を持っている。

余命いくばくもない老人とパッとしない女性

ゆるよし
ゆるよし
あれ?これって小池真理子の小説?

その女性は、老人のところにやって来て

インスタントのスープワンタンを作ったりする。

ゆるよし
ゆるよし
あれ?あれ?スコーンにバター塗ったりしないの??

自分のイメージしている小池真理子さんの小説とは

ずいぶん違った内容となっています。

妙に生活感があるというか・・・・。

いつものセレブ感が全くといっていいほど感じられません。

どっちかというと貧困のほうに近い。

白石一文さんの解説によると、

恋愛小説の名手である小池さんが、近年は、徐々に

恋愛を介在させない男女関係の世界へと領域を

広げているように見える。

のだそう。

従来の小池真理子さんの小説が好きな方には、

ちょっと重たいような内容になっています。

自分も、ちょっと「あれ?」って感じでした。

どちらかといえば、女性向きではなく、

定年後の男性向きに書かれた感じのする小説でした。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。