土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 窪美澄 女性の生き方を3つの側面から描く長編小説「トリニティ」感想

平積み

こんにちは。

今週は 窪美澄さんの小説「トリニティ」を読みました。

窪美澄さんの本は何冊か読んでいます。

じっと手を見る
土曜コラム 今週の読書 窪美澄「じっと手をみる」こんにちは。 今週は、窪美澄さんの「じっと手を見る」を読みました。 じっと手を見る (幻冬舎文庫) [ 窪 ...

今回の「トリニティ」の主人公は出版社で出会った3人の女性。

  1. 祖母から3代続く物書きで、東京育ちのお嬢さまフリーライターの登紀子
  2. 田舎での不遇な幼少期の後、時代の寵児となった売れっ子イラストレーターの妙子
  3. 普通の家庭に育ち、出版社に事務職で入社。お見合い結婚後専業主婦になった鈴子

全く違う環境下で育ち、考え方も生き方も違う3人の女性の

「栄枯盛衰」「生老病死」 つまり「人生」についての物語が

鈴子の孫であり、ブラック企業で消耗→辞職して

心のリハビリ中の奈帆の取材という形で明らかになっていきます。

 

戦後生まれの女性たちのそれぞれの価値観が

三島由紀夫自決

学生運動、高度成長期、バブル、バブル崩壊

などといった社会情勢や、その時々の風俗と共に

語られていきます。

そのあたりも読みごたえあり。

 

3人の女性たちの人生と同時に

出版業界の栄枯盛衰も描かれています。

 

トリニティとはキリスト教の三位一体、

ひとつのものにある3つの側面 の意味。

 

この小説の中では、

女性が持つ3つの側面ということであろう。

それは

男と結婚と仕事

なのか

仕事と結婚と子ども

なのか。

 

出産という女性特有の人生のイベントがありながら

仕事を続けることの大変さ!

 

仕事を続けることを選ばない人生もあり、

子供を持たないことを選ぶ人生もあり、

仕事も子供も結婚もすべてを手に入れたいと思う人生もある。

 

そして、すべてを手にしたところで、幸せになれるとは限らない。

 

長い小説ですが、読み応えあり。

おすすめです。

 

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。