こんにちは。
今週は 津村記久子さんの 「ディス・イズ・ザ・デイ」を読みました。
津村記久子さんの小説はとても好きで、何冊も読んでいます。
はじめて読んだのは、芥川賞を受賞された「ポトスライムの舟」でした。
受賞作だから読んだのですが、その時はあんまり
おもしろいとは思わなかったです。(受賞作あるある)
それからもなんとなく読んでいくうちに、どんどん好きになって
今では、「出たら買う」小説家のひとり。
津村記久子さんは、「取るにたらないものへの愛」を
書かせたら右に出る者はいないくらい上手いと思う。
ほかの人にとってはどうでもいいもの、取るにたらないもの。
でも、当人にとっては、なぜか心の支えであったり
生活の多くの部分を左右したりするもの。
それはたとえば、筆記用具であったり、
フォントであったり、南米のフィギュアスケーターであったりする。
それをなぜか愛してしまうことによって、
人とのつながりが出来たり、仕事が少し楽しかったり、
スペイン語ができるようになったりする。
今回読んだ「ディス・イズ・ザ・デイ」はJ2のサッカーチームへの
愛のお話。
正直、自分はサッカーにはほとんど興味がないので、
といった感じで読みはじめたのですが、もうなんか、
とても面白くて、感動しました。
そして、その人たちは熱い気持ちで応援しているにもかかわらず、
その愛の対象が一般的には受け入れられないことも知っている。
素敵だ。
とか
こんなくだらない形で使われているのか!
とか、知らないことがたくさん。
そして小説に出てくる
とても礼儀正しい鯖江のチームのマスコットキャラクター
レッサーパンダの「つつちゃん」を見てみたいと思って検索。
つつちゃんがいない。。。。。
サッカーJリーグを知らな過ぎて気づいていなかったのだが、
この小説に出てくるJ2のチーム、すべて架空のサッカーチームだったのだ!
ほんとうにビックリしました。
22もの架空のチームを作り上げ、そのチームカラーや選手を描き、試合経過、
そのチームを愛する22人のファン、それぞれの環境、心情を描き出すなんて!
もうすごすぎて言葉になりません。脱帽。
11話あるのだが、そのどれもが素晴らしいです。
「サッカーに興味ないし」なんて理由でこの小説を
敬遠するのはもったいなさすぎます。
小説好きの人なら、サッカーに興味なくたって、絶対に楽しめる小説です。
とてもとてもおススメします。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。