こんにちは。
今週は朝井リョウさんの短編小説集「どうしても生きてる」を読みました。
6編の生きるのがしんどい人たちの短編小説集。
でも生きていくしかない人たちの物語。
朝井リョウさんは本当に読ませる。
夢をあきらめたサラリーマン、
派遣切りに遭う女性
パワハラ社員の言動を見て見ぬふりをするパートタイマー
収入面でもスキル面でも自分より優れた社会人である妻に
劣等感を感じる夫。
小説家とは、そういうものだとしても、
よくも、これだけの立場、状況、感情を描けるなぁと
いつも感心してしまいます。
たとえば、殺人犯の気持ちを考えるにしても
自分も一歩間違えば人を殺めてしまう可能性があるので
想像することができると思う。
でも、朝井リョウさんは「籤(くじ)」という短編で
出生前診断を受ける妊婦さんの心の動きを描いている。
どうやったって、その立場になる可能性のない状況を
と批判されることを恐れずに小説にする勇気がすごい。
そして、作者が男性であることを忘れさせる。
いろんな困難な状況の中にいる人たちを描いているので
ちょっとしんどい気分になるかもしれませんが、
おススメ。
読書印象画は、「七分二十四秒めへ」の中のイメージ。
ただただ、悪ふざけをしているような、ごみみたいな動画。
「脳が溶け、音を立てて偏差値が落ちていく気がした。」
何の役にも立たない、炎上系のYouTubeを
一体どんな人がどんな気持ちで見ているのだろうと
思っていたけど、
そんな思いで見ている人がいるのかと
ちょっと衝撃を受けました。
「生きていくうえで何の意味もない、
何のためにもならない情報に
溺れている時だけ、息ができる。」
まじか!
しんどすぎるやろ。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。