土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 石田衣良 清貧系恋愛小説「清く貧しく美しく」感想

amazon

こんにちは。

今週は石田衣良さんの清貧系恋愛小説「清く貧しく美しく」を読みました。

石田衣良さんの小説は元々好きでよく読んでいます。

いちばん最初に読んだのは、「池袋ウエストゲートパーク」でした。

シリーズ化されているので、新刊が出る度に読んでいたのですが、

最近のは読んでいません。

世相を反映しているのか、段々、取り扱う事件が

薬物であったり、人身売買であったり、虐待であったり、

臓器売買であったりと、(そんなのあったか?)とにかく

悲惨な内容が多くなったので、ちょっともう

ついて行けなくなったのであった。

マコトが解決してくれるのだろうけど、それまでの

設定が重すぎて、読んでいてしんどくなってしまうのだ。

お金出して、しんどくなるのは、ちょっとイヤだ。

今回読んだ「清く貧しく美しく」は恋愛小説。

30歳の巨大倉庫で働くアルバイトの男性と、

スーパーのパート勤務の28歳女性。

合わせて年収300万円台の同棲中のふたりの物語。

どういう風に出会ったのかは定かではなかった気がするが、

同棲し、負け組同士ではあるが、お互いがお互いを褒めあうという

ルールに基づいてそこそこ幸せな二人。

男性の方に、正社員への道が開けてきたり、

女性の方にも新しい出会いがあったりして、さて

ふたりの恋の行方は…といったお話。

 

勝つの負けるのというのがイヤで、自ら勝負する前に

負ける方を選び取っていくという女性の態度が、

ちっとも「清い」とも「美しい」とも思えませんでした。

色んな人がいてもいいと思うけれど、上昇志向のないところに

人類の進歩はないと思うし、

私は負けを選んだんだからそれでもういいでしょ

という開き直りみたいな態度に、傲慢さを感じてしまいました。

 

なにより、読んでいる間中気になったのは、貧しい二人の生活と

それでも、それを幸せだとする物語が、

あの、真っ白で、素晴らしいオーディオのある石田衣良氏の

書斎で書かれているのだということが脳裏にチラつくことなのであった。

以前に「情熱大陸」だか、「プロフェッショナル」だかで

見てしまったのだ。

あんまり、そういうの見てしまうと、その作家さんの小説を

読むときに邪魔になるものだなぁと思いました。

 

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。