こんにちは。
今週は 山崎ナオコーラさんの小説「鞠子はすてきな役立たず」を読みました。
山崎ナオコーラさんは今まであまり読んでこなかったのですが、
ここんとこ、少し読んでいます。
最近読んだのは、「かわいい夫」と
「母ではなくて、親になる」
前者は「結婚」、後者は「育児」に関するエッセイ。
あんまり熱量を感じない、ほっこりするような内容だったような・・・・?
今回読んだ、「鞠子はすてきな役立たず」は小説です。
高卒で銀行員として働く夫と
大学院卒で趣味に生きようとする専業主婦という組み合わせの夫婦のお話。
しかし、「役立たず」という言葉、とてもキライだ。
中学生だった頃、母親に
って言われたことがあるのを
いまだに恨みに思っていたりする。
と思ったことを鮮明に覚えている。
誰かにとっては何の役に立っていなくても、
他の誰かや社会にとっては役に立つこともあるだろう。
あれから数十年・・・・。
介護の必要になった母親にいいようにこき使われる毎日・・・・。
「役立たず」の呪いは根深い。
虐待に近いことばだと思う。
この小説の中の「鞠子」は、仕事ではなく趣味に生きようとする。
絵手紙だったり、家庭菜園だったり、俳句だったり、
小説だったり、散歩だったり。
決してそれらを仕事に結び付けようとしたりせず、
純粋に趣味として楽しもうとする(夫のお金で)。
働いてお金を稼ぐということに強いこだわりを持つ夫は
それを「なんだかなぁ」と思いながらも
妻の価値観を理解しようと努める。
奇妙な距離感の夫婦である。
でも、読んでいて楽しい。
人の稼いだお金で趣味を楽しもうとするあたり、
金の亡者である自分には、ちょっと許しがたいのだが、
鞠子が あっけらかんとしているので、
そういう価値観もあるのかぁ~ と思ったり。
本文中に
手作業っていうのは、人の心を整えますね。
手作業は祈りよ
というフレーズが出てくる。
確かに、そういうことってあると思う。
編み物であったり、クロスステッチであったり、
ジグソーパズルであったり、プラモデル作りであったり。
作業に集中して無心になることが、心を整えるのだと思う。
しばらく、そういうことをしていない。
人のお金で暮らしながらそんなことをしていたい。
でもきっと自分には無理だろうなぁ。
「働かざるもの、食うべからず」の呪いにより、
罪悪感で無心にはなれそうにありません。
後半に再度、そのフレーズが出てくるので、
そのこと(手作業は祈り)と、
役に立たないことなんてなにひとつない。
仕事(お金を稼ぐこと)だけが
価値のあることではないということが
テーマなのかな。
悪い人の出てこない、ほっこりした小説。
ゆったりとした気持ちで読みたい本でした。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。