土曜コラム

土曜コラム 今週の読書 中島京子 「樽とタタン」感想

樽とタタン

こんにちは。

今週は中島京子さんの「樽とタタン」を読みました。

小学生の女の子が主人公の、とてもかわいらしい物語です。

 

中島京子さんをはじめて読んだのは、直木賞を受賞された「小さいおうち」でした。

なんだか、懐かしい感じのする物語がとても上手です。

 

今回読んだ、「樽とタタン」も、昭和の団地住まいの女の子のお話。

子供の出てくる物語は、あまり好きではないのですが、この主人公の女の子は

大人しくて好感が持てました。

大人たちを樽の中からただじっと観察していて、起こることを

「起こった」こととして、そのまま受け流していく。

祖母と仲良しなのもいい。

いちばん心に残ったのは

祖母は、わたしが生涯で初めて持った死者だった。

死者の思い出が生者の生を豊かにすることを、

わたしは祖母を亡くしたときはじめて知ったのだった。

というところ。

あと、カニが出てくる木の話をする、小さな男の子トックンとのやりとりも

とてもよかった。

なんか、すてきだ。

こういう話を紡ぎだせる才能ってすごいと思います。

中島京子さんも、「出たら買う作家リスト」の中のひとり。

そういう作家さんがたくさんいてくれて自分はとても幸せです。

それではみなさま、よい週末をお過ごしください。