こんにちは。
今週は 中島京子さんの 「ゴースト」を読みました。
7編の幽霊(ゴースト)にまつわる短編集です。
(怪談ではありませんので、ホラー嫌いな方もご安心を。)
中島京子さんの著作をはじめて読んだのは、直木賞を受賞され
映画化もされた「小さいおうち」でした。
それ以来、14冊くらいは読んでいると思います。
中島京子さんは、1964年生まれ。
モチロン、かなり戦後の生まれなのに、
戦中や、戦後の物語が多い印象。
祖父母と一緒に過ごす時間が長かったのかなぁと想像します。
もし、そうでないのなら、人が、ある時代や、特定の国に
どうしようもなく惹かれることがあるのは、
なぜなんだろうと不思議ですね。
「ゴースト」の中では、
「廃墟」という短編が心に残りました。
「廃墟」の中に出てくる、香港の九龍城には行ったことがありませんが、
長崎の端島(軍艦島)や、台湾の製糖工場の跡地には
行ったことがあります。
廃墟に人が興味を持つのはどうしてなんだろう?
何が人を惹きつけるんだと思う?
という、主人公の問いに、
廃墟に魅力があるのは、
かつてそこに人が存在していたことを
感じるからでしょう。
と、誰かが言う。
自分が廃墟好きなのは、
かつて、そこに人が存在した
↓
そして、今は誰もいない
↓
そして、誰もいない場所に今自分はいる
自分の存在、自分が今生きている ということを
強く感じることが出来るからなのかなと思います。
時間の流れと存在の不思議をいっぺんに感じることができるのがいい。
なので、例えば、廃墟の写真集には、あまり興味がありません。
その場に、自分自身の存在がなければ、
写真で見てもしかたがない気がします。
廃墟の写真よりも、その写真を撮ろうと思った
写真家の心情のほうにより惹かれます。
香港の九龍城は、今は公園になっているようです。
行っておけばよかったなぁと少し後悔。
中島京子さんの「ゴースト」おススメです。
それではみなさま、よい週末をお過ごしください。